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メルカテッロの暮らし

本のご紹介です。
「メルカテッロの暮らしーイタリアの小さな町で考える、日本の都市の可能性ー」(藝術学舎)
建築家の井口勝文先生と画家の井口純子さんご夫婦のイタリアのメルカテッロという小さな町での暮らしとそこからの街づくりの考察、旧市街でのご自宅の町家改修体験談も収録。その他、町の人へのインタビューがたくさん載せられているのですが、そこに暮らす人がどのように町に関わり、また戦後の激動の時代をどのように生き抜かれたかなど、どのお話も味わい深く楽しめました。インタビューからは随所から価値観や人生観が感じられ、「自分にとっての幸せって何だろう。」と考えさせられます。人々の価値観が町の形になっていくと思いますので、ぜひ専門の方だけでなく皆さんに読んでいただきたい一冊です。お値段がなかなかですが、私は一講座受けたと思って購入しました。キンドル版も有。

みんなが幸せに暮らせる町の要素ってなんだろう?
こんな条件が並んでいました。
①みんなが自慢する美しい風景
②食べる楽しみ・みんなで食べる楽しみ
③「きずな」を育む場所がある
④みんなを支えるコミュニティ
⑤町の必需品、文化と福祉
⑥みんなでつながっている地域経済

①・②は自然条件+α、③~⑥はそこで人が生きていくために集まって住むコミュニケーションのようなものでしょうか。

あなたの住んでいる町はいかがでしょう?

あまりに効率重視で、効率は良いけど居たくない場所が増えてしまったり、経済や便利さをもとめるがあまり郷土愛につながる根本的な自然条件を無視してしまったり、人口が減っていくなかで土地の高効率利用(建物の高層化)が必要なのだろうか、海を埋め立て新しい土地を増やすことはゴミの行き場がないからなのだろうか、都市開発はそこに暮らす人を幸せにするものなのか、誰かを一時的に儲けさせるものなのかなど私の都市に対するモヤモヤですが、メルカテッロの人口1500人の社会を読むと、まずは町内会レベルで考え始めても効果が出るのではないかと思います。

町の魅力を見つけたり、足りない部分はどうすれば良いか考えたり。
どうにかしたいとみんなで奔走することも楽しいものではないでしょうか。

私たちに求められるものは、住めば都の柔軟性とそこを都にする気概だと思うのです。